一人の男と、一本の棒と、一つのテレビスクリーンが織りなす物語。そういうと単純で静かな話のようだが、実際はジェットコースターのような驚きに満ちている。奇想天外なコメディでありつつ優れた知的ゲームのような作品。演出／出演のダラー・マクローリンはジャグラーとしてのキャリアを持ち、今回のフェスティバル出演者の中で唯一、人形劇をバックグラウンドとしないが、数年前に人形劇界に「発見」されてから欧州の人形劇祭を席巻しつつある。男は棒を、自分の体のさまざまな場所に立ててバランスをとる。男と棒は互いにバランスをとりあい、動かしあう。男は一応、この作品の作者であり、したがって舞台上の全ては男の計画した通りに進行するはずだが･･････。
「バランスは、動きのあり方の一つです。異なる力と力のあいだのやりとりです。バランスは、いつも気付かれないまま続いています。失われた瞬間にはじめて、その重要性が気付かれます。バランスは、私たち人間存在を物理的に左右していますし、すべての物事における満ち引きのような動きのメタファーでもあります。平等、不平等。多すぎ、少なすぎ。生きる、死ぬ。棒のバランスをさぐる営みを通じて、私の身体に命が吹き込まれます。棒が私を生かすのです。まるで、人形遣いが人形を生かすように。私のしていることは、反ー人形劇なのです。」——Darragh McLoughlin
どれを見るか迷っている方のためのキーワード
#オブジェクトシアター#フィジカルシアター#アクロバット#角材#アイルランド#ポスト人間中心主義#信頼できない語り手#笑える作・演出：Darragh McLoughlin
出演：Darragh McLoughlin ほか
言語：ノンバーバル（演出上の日本語・英語ディスプレイ表示あり）
推奨年齢：10才以上
上演時間：45分
フィジカルシアターやニューサーカスのバックグラウンドを持つが、近年人形劇界でも高い注目を集めている、新進気鋭のアーティスト。オブジェクトについての優れたコンセプトと、それを具現化するだけの身体的技術がある。