SHIMOKITAZAWA INTERNATIONAL PUPPET FESTIVAL
下北沢国際人形劇祭

レクチャー①
人形劇 × 映画・演劇・舞踊

2月24日(土) 13:00〜14:30 会場:下北沢アレイホール

映画、演劇、舞踊の各分野で活躍している研究者たちが、これまであまり学術的に顧みられてこなかった「人形劇」という分野に切り込みます。日本における人形劇学はようやくここから始まるかもしれません。(画像:10年前、その三人の研究者たちがパリの劇場で思いがけず遭遇したという不可思議な瞬間)

小川佐和子「人形浄瑠璃と日本映画」

日本映画は、歌舞伎や文楽、能などの古典芸能、講談や新派のような大衆芸能をとり込んで発展してきました。今回のお話では、溝口健二、成瀬巳喜男、内田吐夢といった日本映画の黄金時代に活躍した監督たちの作品をとりあげて、人形浄瑠璃と映画の思いがけない出会いのかたちをみなさんと一緒に見てゆきたいと思います。劇中劇としての人形浄瑠璃や文楽作品の映画化など、映画に織り込まれた日本の人形劇の豊かな表現と文化の水脈を楽しみましょう。

田ノ口誠悟「フランスにおける人形劇と演劇:過去と現在」

フランス、仏語圏諸国ではギニョール(指人形劇)、マリオネット(操り人形劇)などの人形劇が古くから親しまれています。その種類も豊富で、各地域に独自の人形劇文化があります。演劇人達も人形劇を積極的に自身の作品に取り入れており、現代を代表する前衛劇団「太陽劇団」は日本の浄瑠璃人形を演出に用いることで有名です。本レクチャーでは、フランスの伝統的人形劇文化を紹介しつつ、人形劇が演劇という「正当」な舞台芸術にいかなる影響を与えているかということについても考えます。

北原まり子「バレエの舞台における人間と人形」

《コッペリア》《人形の精》《胡桃割り人形》のように、バレエ作品ではしばしば踊る人形(役)が登場します。一方で、型や様式の確立したバレエの踊り手に対しては、メカニックな動きが「人形のようだ」と批判の対象になることも少なくありません。20世紀初頭に《ペトルーシュカ》を振付けたフォーキンは、人形と人間を踊り分けることに心を配りましたが、続くニジンスキーやマシーンの振付に見られる「人形的な身振り」はモダニスムの反映とも捉えられています。そもそも日常とは異なる身体の用い方をするバレエの舞台において、人間と人形の身体は、どのように区別され、また、互いに接近し得るのでしょうか・・・?

登壇者:小川佐和子(映画学/北海道大学准教授)、田ノ口誠悟(演劇学/日本学術振興会特別研究員PD)、北原まり子(フランスよりオンライン登壇。舞踊学/早稲田大学演劇博物館招聘研究員)
司会:山口遥子(人形劇学/SIPFスタッフ・日本学術振興会特別研究員PD)